IDI N660X3 ゼロクロスシリーズ
セカンドラジアルレース用
ブレーキパッド
問:IDI http://www.idijp.com
セカンドラジアルで
どれだけ踏みちぎっても怖くない!
11月に開催された、岡山国際サーキット「IDI Branch Cup」で、セカンドラジアルタイヤレース専用に開発された、いまウワサのIDI“N660X3”ブレーキパッドを踏んできた。クルマは、タイムリー中島選手のIDI&A-LAPカラーの57号車。タイヤはミシュラン。以前、山坂道で踏ませてもらった経緯はあるが、果たしてサーキットではどうか? 岡山国際なら、その場所としては最適。
「効かないからビックリしないで下さいね」。この日の数ヶ月前に、山坂道を走る前に中島サンに聞かされた言葉だ。いわゆる「効き」を前提に開発されたチューニングパッドと比較すれば、なるほど、そうではない性格のパッドだということはすぐに分かった。中島サンの言葉は、「効かない」のではなく「いままでのどのレース用パッドとも性格が違うから驚かないでね」の意味。ハーフウェットの路面にも関わらず、どれだけ奥でもとにかくロックしない不思議な感覚。性格は分かった。でも、ストリートではインプレにも限界がある。レース用パッドなのだから、やはり、サーキットでこそ真の評価ができるというもの。
さぁ、いざ岡山国際!
岡山国際当日。快晴&ドライ路面。ストリートでの初期の感覚では「ツーっ、あれ?」というのは正直感じた。自分が思っているよりも止まらない。しかし、サーキットに持ち込むとその感覚は一転、微塵も感じない。これこそが、IDIゼロクロスの真骨頂“競技用パッド”なのだ。そのパッドに合ったスピードレンジ&温度域で使うと、本当の性能が出てくる。恐る恐るコースインしたが、アウトラップのアトウッドに行く頃には、全然「効く」という印象。むしろ自然。もう、怖さはない。バックストレートエンドでは、ロックしないのを知っているから限界までブレーキを耐えて、そこから踏みちぎっても止まる。なおかつ、ハンドルを残そうがブレーキを残そうが、次の小さな右カーブもどのラインでも通って行けるのだ。
セカンドラジアルでは、舵角が少しでも残っていれば、その状態でブレーキを踏み込むと簡単にロックしてしまう。ここのシビアなコントロールがセカンドラジアルの醍醐味かもしれないが、ロックしないのであれば、それはそれで良いに決まってる。でも、ブレーキングに妥協してロックさせないのとは違う。このパッドのロックしないというスゴさは、タイヤの限界ブリップ付近なり、ブレーキの限界付近なり、いわゆる、イチバンおいしいところが自ずと引き出されることにある。ブレーキパッドでそれが叶うというワケだ。レースでは前のクルマを抜かないことには順位は上がらない。前のクルマを抜くときに、躊躇してしまう最大の原因はブレーキング競争でロックさせ、コントロールを失うことだ。その場面を想定しても最大の武器になることは間違いナイ。
ロックしないのは完全に武器です!!
まとめると、まぁ、とにかく「こんなパッドは経験したことがナイ」という言葉につきる。もちろん、セカンドラジアルタイヤでやるレースも前例がなかったこと。ましてや、それ用のブレーキパッドもなかった。でも、IDIとはそういうブランド。ドライバーが困っているなら「それをなんとかする」というメーカーだ。何度も言うが、セカンドラジアルタイヤでロックしないパッドは完全に武器。右足のペダル操作による効き始めからどんどん奥に行くまで、止まってくれるは、コントロールできるは、ロックしないは、曲がってくれるは、全部スゴイ。これ以上言うとウソっぽくなるからやめておくが、このパッドは経験しないと分からないことばかり。ほかに例えようがないからだ。セカンドラジアルのNAのレースだと「ほとんどブレーキはいらない」という人もいるが、「踏んだってロックするだけ」というストレスの裏返しだと思う。でも、IDI“N660X3”ブレーキパッドをつけたら、あらためてブレーキの大事さに気づかされる。セカンドラジアルでも踏むのが楽しいパッド。思わず踏みたくなるパッド……、そんな印象。