月面のF1、世界レース連盟2020年フォーミュラM開催。運営にはレーサーズナビが決定

世界レース連盟(FWR:Federation of World Race)はアメリカ東部時間4月1日、本拠地ニューヨークにて記者会見を開き、月面で初となる自動車レース「Fomula M」(フォーミュラ・エム、以下フォーミュラM)を2020年に開催すると発表した。
フォーミュラMのMは英語で月を意味するMoonからきており、空気がなく低重力の空間である月面において、いかに速く安定して走行できるかを競う自動車レースとなる。レースカーのレギュレーションは地球上でも走行可能な日本の軽四規格に準ずる電気自動車で、日本の公道を走行可能なものとなっている。このレギュレーションについてFWR会長のハリー・フジサキ氏は、「後進国を含め世界各国の道路事情に合うサイズの規格候補の中で、日本の長年に渡る高度な安全技術が組み込まれた軽四規格を採用することで、世界中の人から注目されるレースとする。科学の進歩と技術再利用の両立という面で、このレースの価値は極めて高い。」と語った。レースは月面に特設される3.6kmのコースにおいて、計8台で行われる。
レースの運営はレーサーズナビが担当することが決定しており、すでに月面にはテスト用の車輌を運び込んでいる(写真)。

地球と違うクルマとコース

基本的には地球上の電気自動車と同じ構造で走行することになるレースカーだが、例外的にいくつか変更点がある。
まず、車輌についてはサスペンション周りが1/6の重力に合わせたパーツに変更され、全ての空力パーツは意味を持たないため取り外される。ゴムパイプなどの一部は、内側から1気圧余分に圧力を受けることになるため、必要に応じて強化パーツになる。もちろん、タイヤの空気圧は地球上より下げることになる。水などの液体を使う部分においては、気圧がかからないことによる沸騰を避けるため、代替品に変更となる。
また、車輌及びコース上には消火設備が一切配置されない。これは火災が起こる危険がないからだ。
さらにコースのミューは低く抑えられる。これは小さい重力のため、ミューが高いと車輌が簡単に横転してしまうためだ。

山積みとなる技術課題

一見順調に見えるフォーミュラMだが、開催までには技術的な課題が山積みだ。解決に最も困難が予想されるのが宇宙服の問題。現在の宇宙服は以前と比べてかなりスリム化されたが、それでもそのまま軽四の運転席に座ることは出来ない。とくに頭が車内に入らない。今後これらの問題をどのように解決していくのかも、フォーミュラMの見どころといえる。

資金調達にクラウドファンディングも利用へ

フォーミュラMの開催には、最低でも5000億円程度が必要と見込まれる。FWRではこのうち$100を捻出するが、レーサーズナビではFWRと協力して、必要な残り約4999億9998万8000円を、現在募集中のクラウドファンディングプロジェクトで追加募集する予定。
https://www.makuake.com/project/racersnavi


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